中学受験か、家族の時間か

留学

―「家を建てる?」から始まった、私たち家族の進路会議―

「定住」か「転勤」か。人生を左右する分かれ道

ある日、夫がこう言いました。
「そろそろ家、建てる?」

国家公務員として全国転勤がある彼。
これまでも何度も引っ越しを繰り返してきた私たち家族は、いつも「このまま住む?それともまた次の転勤まで我慢?」と、迷いながらの生活をしてきました。

家を建てる=定住する、ということ。
それは単にマイホームを持つという話ではなく、家族の暮らし方そのものを変える大きな決断でした。

でも、私たちがその選択を先延ばしにしてきた理由は一つだけ。
**「家族みんなで一緒に暮らしたい」**という気持ちです。


長男の進路を考えたら、浮かんできた“定住”という選択

長男は小学6年生。いよいよ中学進学を考えるタイミングになりました。

「中学受験をする?」「地元の中学に行く?」

私たち夫婦が進路のことを真剣に話し合うようになったのは、彼の進学がきっかけです。

周囲では、中学受験にあわせて家を建て、夫だけが単身赴任をする家庭も少なくありません。
「このまま転校ばかりでは子どもがかわいそう」
「中学は落ち着いた環境で通わせたい」

その思いは、私にもありました。

でも、長男のために定住を選ぶと、今度は三男がまだ小さいうちに父親と離れて暮らすことになります。
父親がいる安心感、家族で過ごす日常。
そのかけがえのなさを考えると、どうしても踏み切れませんでした。


私自身が経験した中学受験と、違和感

私は自分自身が中学受験を経験しました。
第一志望の中高一貫校に合格し、友人や先生にも恵まれ、豊かな6年間を過ごしました。

でも、大学時代に中学受験専門塾で講師をしていたとき、ふと感じたことがあったのです。

「夜10時まで塾に残っている小学生たち、本当に大丈夫?」

眠そうに帰っていく子どもたちの背中を見ながら、
「中学受験はまだ“入り口”にすぎないのに…」と、違和感を持ったのを覚えています。


幼いころから英語に触れていた私。でも、話せなかった

私は幼少期から英会話教室に通い、中学・高校では英語の成績もそれなり。英検も準2級まで取りました。

でも──話せなかった。

大学生のとき、デンマークに短期留学した際、ルームメイトと日常会話すらまともにできなかったのです。

「この単語は知っているはずなのに、なぜ出てこない?」

そのとき、はっきりと実感しました。

“英語を勉強する”と“英語で生きる”はまったく違う。

どれだけ勉強しても、使わないと身につかない。
「必要だから話す」という環境に飛び込まなければ、本物の語学力にはならない。


留学経験のある友人は、内側から光っていた

高校や大学で長期留学を経験した友人たちは、みんな自信にあふれていました。
考え方が柔軟で、行動力があり、何より楽しそう。

「同じ年齢なのに、どうしてこんなに違うの?」

それはきっと、“違う文化で生きた経験”があるかどうか。
その差なのだと思いました。


「この金額、中学受験じゃなくて“留学”に使えるかも?」

ここでふと思ったんです。

「もしこのまま中学受験に進んだら、塾や受験でいくらかかるんだろう?」

試算してみた結果、

  • 小4〜小6までの塾代:約200万円
  • 受験料や講習費:約15万円〜
  • 私立中学の初年度納入金:約100万円

合計300万円前後──つまり、留学費用とほぼ同額。


「小学生で単身留学?」Instagramで出会ったリアル

ちょうどそんなことを考えていたとき、Instagramで見かけた投稿。

「小学生で単身、マレーシアに留学しています」

…えっ?それって、どういうこと?

思わず過去投稿をすべて遡って読んでしまいました。
そこには、我が家と同じような普通の家庭が、前向きに留学を選び取ったリアルがあったのです。


まだ間に合う。私たちの挑戦が始まった

マレーシアのインターナショナルスクールは、物価も学費も比較的安く、英語環境にどっぷり浸かれる。
日本人の単身留学生も多く、サポート体制も整っている──。

調べれば調べるほど、「やってみよう」という気持ちが強くなっていきました。

そして、わが家の“中学受験”ではない道が、ここから始まりました。

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